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子どもの頃、学級文庫に外国の読み物があった。
薄い事典のような体裁で、雑学のようなことがいろいろ書かれていた。
その中に、「雑草という植物はない。雑草とは人間の側からの分類で、
薔薇園に稲が生えていれば稲が雑草で、田んぼに薔薇が生えていれば
薔薇が雑草となる。」とあった。
そんなことが意識の底にあって、ゼラニュウムのプランターにカタバミが
生えているのをみつけたとき、何の手も打たなかった。
小さな花は可憐だし、葉はクローバーに似ている。
園芸種でないからといって邪険にすることはない、などと思った。
しかし、カタバミの底力を軽んじたそんな態度を、私はすぐに後悔する事に
なった。何しろずっと人間のすぐそばでこうして生き抜いてきた品種なのだ。
可憐な花はすぐに円柱状の先の尖った果実となった。
これが熟し、指などが触れると種子を鳳仙花のごとく弾き飛ばす。
たちまち、ゼラニュウム周辺のほかの植木鉢やプランターにもカタバミは
進出した。ここに至り慌てて抜きはじめたが、すでに手遅れであった。
カタバミは球根からさらに深く根を下ろし、すべてを抜こうとしても、途中で
切れてしまう。さらに地表でには匍匐茎を張りめぐらし、わずかでも残って
いれば、間を置かずそこから芽を出してくる。
こちらの都合で植えている大概の園芸種など、たちまちその勢いに負けてしまう
のであった。
結局、カタバミの完全駆除はあきらめ、目に付くたびに抜くことになった。
こまめな対処で蔓延ることだけは遠慮していただきつつ、このタフな精神には
ぜひあやかりたい、とひそかに願っている。
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